遺言書とは、死が目前に迫ったときに作成するものだと思っていませんか?
または自分には必要のないものだと思っていませんか?
遺言書とは、テレビに出てくるような、莫大な資産を持った老資産家にしか必要のないものではなく、
ごく普通の人にとっても必要とされるものです。
人は生前、自分の意志で自由に財産を処分できますが、万が一のことがあった場合、
遺された家族達は故人の意思を確かめるすべがありません。
故人の意思を尊重したくとも、確認することができなければどうしようもありません。
そのときに“遺言書”という、形になったものが遺されていたなら、遺された家族は
故人の意思を確認することができ、その内容に沿った形での財産の分配が可能になります。
遺言書を作成することによって、家族に無用の心配をかけることが避けられます。
生前に遺言書を作成しておくことは、決して“自分には全然関係のないこと”でも、
“縁起でもないこと”でもありません。
家族のための思いやりとして、そして安心を贈るために、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
遺言書には法律で定められた3種類の方式があり、それぞれメリット、デメリットがあります。
弊所ではお客様のお話を伺ったうえで、ご本人にとって最も希望に沿った、
良い形になるような遺言書の作成をサポートさせて頂きます。
まず、法律で定められた3種類の遺言のうちの一つが自筆証書遺言です。
『自筆』とあるように、遺言者本人が、遺言の全文、日付、氏名を自書して押印して作成します。
メリットとしては、費用がほとんどかからないことや自分の好きなタイミングで作成できることなどが
あります。
一方デメリットとしては、定められた方式を少しでも満たしていなければ、無効となってしまうことです。
例えば、パソコンで作成されたり、録画、録音されたものや日付の特定できないような書き方の遺言は
全て無効になってしまいます。
今回、40年ぶりに相続法が改正され自筆証書遺言については財産目録の添付が自筆しなくてもよいように
なったり(財産目録については、パソコンで作成可能になった)、今までは遺言者本人が遺言書を
保管しなければならなかったのが、法務局で形式審査の後、保管してもらうことができるようになります。
法務局での保管に関しては、2020年7月より施行ですが、財産目録に関しては既に施行され有効と
なっています。
今回の改正で自筆証書遺言の要式が緩和され、作成しやすくなりましたが、
一方で法務局の保管は必ず本人が法務局に行かなければならなかったり、財産目録の添付は押印、
署名する必要があるがあったりと、守らなければならないルールもあります。
弊所では、改正を踏まえてご本人の希望に沿った遺言書を作成できるよう、
徹底的にサポートさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。
遺言者本人が自書する自筆証書遺言に対して、遺言者が2人以上の証人立ち会いのもと、
公証人という、認証を与える権限をもつ公務員に対して遺言書の内容を伝え、筆記してもらった上で、
読み聞かせてもらい、確認したうえで署名、押印する方式の遺言書が公正証書遺言です。
この方式のメリットとしては、まず公証人という、専門家の関与があるため、確実性が高く、
形式の不備などで無効になるおそれが限りなく少ないことです。
また、公証役場が遺言書原本を保管してくれるため、紛失や改竄のおそれがなく、安心です。
また、字が書けなくても作成することができます。
デメリットとしては、専門家が介在するため、自筆証書遺言よりは費用がかかること、
証人二人以上と公証人の立ち会いが必要なため、秘密にはならないことなどがあります。
(とはいえ、法律で守秘義務が課せられていますので漏れるようなことはありません)
また自筆証書遺言よりは時間がかかります。
遺言の方式にはもう一つ、秘密証書遺言という方式もあります。
この方式のメリットは自分以外の全ての人に対して、遺言を秘密にしておくことができる、
などがありますがその分、方式不備で無効になるリスクも高まりますし、
公証人の費用もかかるのでこの方式が選ばれることは他の2つの方式に比べて、極めて少ないです。
ですが、弊所では、いずれの方式の遺言書も取り扱っており、ご本人の希望に沿った遺言書ができるよう
最大限サポートさせていただきますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
Q1 遺言は何歳からできますか?
A 15歳以上の人は単独で遺言をすることができます(民法961条)。
ただし、遺言の証人や立会人になることはできません。(民法974条1項)
Q2 遺言を書いたけど、やっぱりやめることはできますか?
A 新しい(有効な)遺言をすることにより、古い遺言を撤回することができます(民法1022条)。
3種類の方式のいずれかであればよく、例えば自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回することもできます。
新しい遺言の内容と古い遺言の内容が抵触する場合、古い遺言の抵触する部分は新しい遺言で
撤回したものとみなされます。
Q3 『検認』とはなんですか?
A 遺言書の偽造等を防止するため、家庭裁判所で遺言書の内容を確認することです。
自筆証書遺言(法務局で保管しない場合)、秘密証書遺言の場合には遺言の執行の前に、
検認手続きを経る必要があります。
ほかにも、相続人に対し遺言の存在や内容を知らせる効果もあります。
検認を経ないで遺言が執行された場合や勝手に遺言書を開封した場合には5万円以下の過料に
処されますので注意しなければなりません。
Q4 遺言の効果はいつから発生しますか?条件付きの遺言の場合は?
A 遺言は、遺言者の死亡時から効力を生じます。
条件を付した場合には、その条件が遺言者の死亡後に成就したときから効力を生じます(民法985条)
Q5 遺言でできないことはありますか?
A 基本的に遺言による財産の処分は自由ですが、遺言者の死亡後、遺留分が問題となることがあります。
遺留分とは遺言でも変えることのできない、相続人に保障された最低限の取り分の割合のことです。
遺留分は配偶者(妻又は夫)、子供、親のみに保障されており、たとえば配偶者であれば、
法律で定められた相続分の半分は遺留分があります。
遺留分は遺言者の死亡後、相続人に請求されることによってはじめて取り戻すことができます。
ですので、例えば赤の他人にすべての遺産を相続させるといった、遺留分を侵害する遺言も有効ですが、
できれば相続後のトラブルを避けるためにも、ある程度相続人の納得のいく遺言書を作っておくことを
おすすめします。
Q6 遺言執行者を指定しておいたほうがよいですか?
A 遺言の内容を実現するための手続きをする人を遺言執行者といいますが、
遺言で指定しておけばその者が遺言の内容を実現してくれます。
もし遺言執行者がいない場合、相続手続きに協力的でない相続人がいると手続きがなかなか前に
進まない場合があるため、できれば信頼できる相続人もしくは行政書士などの専門家を
指定しておくことをおすすめします。
Q7 複数人の共同で遺言書をつくることはできますか?
A できません(民法975条)。必ず、単独で行う必要があります。
作成前に話し合うことは自由ですが、作成するときは単独でしなければなりません。
Q8 遺言書の作成が特に推奨されるケースは?
A 以下のケースでは、トラブルなどを避けるため、特に遺言書を作っておくことをおすすめします。
法定相続分と異なる配分をしたい場合 | 相続人それぞれに考慮した財産配分を指定できます。 |
遺産の種類や数量が多い場合 | 遺産分割協議では、財産配分の割合では合意しても、誰が何を取得するかについてはなかなかまとまらないものです。 遺言書で指定しておけば紛争防止になります。 |
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合 | 配偶者と義理の兄弟姉妹との協議は、なかなか円満には進まないものです。 遺言書を作成することにより、配偶者のみに相続させることもできます。 |
農家や個人事業主の場合 | 相続によって事業用資産が分散してしまっては、経営危機に陥ります。 このような場合も遺言書の作成が有効です。 |
相続人以外に財産を与えたい場合 (遺言書がなければ難しいです) |
内縁の配偶者、子の配偶者(息子の嫁など) 生前特にお世話になった人や団体 公共団体などへの寄付など |
その他 | 先妻と後妻と両方の間に子供がいる 配偶者以外の者との間に子供がいる(婚外子) 相続人の中に行方不明者や浪費家がいる 相続人間の仲が悪い など |